apriori_37g

言葉が好き

短編

正十二面体の女

今日も風呂にアヒルを浮かべて、あの女のことを思う。なんと正十二面体の女。 あの女は、裏表のない女だった。裏表なんかじゃ済まされない女だった。裏表という二次元的で、規定も曖昧な存在では無かった。 正十二面体(せいじゅうにめんたい、英:regular do…

刺したかき氷

またあの子にフラれた。彼女の足踏み、彼女の猫を撫でる掌、彼女の喉を通るストレートティー。それら全てが僕を拒んでいると悟らせる。 僕の気持ちはまた埋葬。今日は乳白色の浴槽に沈めた。僕はMステに出てた今流行りのラブ・ソングを歌う女が大嫌いだった…

艶なる宴

蓄音機から、ふつと音が途切れた。木々のどよめきと、湿った窓に気付かされる。 小雨にも目をやらせない程、蓄音機は唄い続けていた。 ドビュッシーのレコードは母のお気に入りで、幼い私がそれを投げた時は酷く怒られた。 でも、今の私なら、このレコードは…