apriori_37g

言葉が好き

刺したかき氷

またあの子にフラれた。彼女の足踏み、彼女の猫を撫でる掌、彼女の喉を通るストレートティー。それら全てが僕を拒んでいると悟らせる。
僕の気持ちはまた埋葬。今日は乳白色の浴槽に沈めた。僕はMステに出てた今流行りのラブ・ソングを歌う女が大嫌いだった。
初めて手を繋いだあの日を劇的に回想することも狂気の沙汰だ。彼女は僕のことなんてこれっぽっちも愛していないと分かっている。
彼女にあげた真っ白のハンカチーフは、今どこにあるのだろうか。きっと雑巾にでもして油彩の筆を拭いているに違いない。
僕は彼女のことが本当に大好きだった。
いつも遅刻してくる姿も、ワイン片手に大笑いする顔も、生暖かい二の腕も全部大好きだった。
造成の夏、今日も君はこの世にいない。