apriori_37g

言葉が好き

最愛の鼓動が消えたとして

一か月前、最愛のミュージシャンが亡くなった。そして明日は彼の追悼式だった。私は赤く光る踏切を駆け足で渡った。自殺しようとして助けられた少女を思い出した。椎名林檎の虚言症を思い出した。
遮断機が降りたと同時に、私の頭の中に大日如来像が降ってきた。もし今自殺したとして、仏に会わす顔があるのか。急に降ってきた。突然思った。
人生が修行だとしたら、まだ二十年ぽっちの私が死んで、それで仏が満足するのか。自殺なんて私の最期の切り札だと思っていたし、本気で実行しかけた時もあったが、それが考えられないことになってしまった。
なんだかオカルトな話だと思われるかもしれないが、やはり身近な死に触れると降りてくるものなのだろうか。どんな面して仏と会って、どんな面して地獄で働けばいいんだろう。死にたくなくなった。こんなんじゃ、まだ死ねないと思った。最後、綺麗な顔で死にたいと思った。