apriori_37g

言葉が好き

ボツ

今日も孤独に勝てない。
深夜一時十七分。本を捲っても何も頭に入ってこない。猫を撫でてもこちらを見ない。スマートフォンは明る過ぎる。
独りきりだということが何なのであろうか。
中国の万里の長城を思う。あの大きな城だって何年も孤独だったはずだ。
私は孤独に勝てない。
あの子だって孤独だと知っている。あの子だって血を流したと知っている。それでも私だけが底に落ちた気がする。
独りきりだということが何なのであろうか。他界した父を思う。あの人は永遠の孤独を手にしたのだ。
いつまでも孤独に勝てない。
貴方と繋ぐ手を離した交差点。友人たちと笑い合った後のシャワー。空を切るような海を眺めた時の肌寒さ。
独りきりだということが何なのであろうか。
私には愛する人がいるし、愛してくれる人もいる。私は幸せなはずだ。
古代ローマを思う。深海魚を思う。キリストを思う。高速道路を思う。
今にもみな孤独だと知っている。誰かが泣いていると知っている。誰かがテレビを消したと知っている。誰かが皿を割ったと知っている。誰かが死んでいると知っている。
私の幸福論は未だ完成しない。
三大幸福論を読んでも私はわからない。私の幸福論はラッセルなんかにわかるわけがない。
椎名林檎の歌う幸福論なんか少しも信じていない。私の幸福論は三分五十四秒で歌い切れる訳ない。

(ボツです。)